2008年07月11日

3.

彼ら二人はとある事件の被害者として出逢った。

あれは今から6年前の冬。
昨今に無い極寒で、
体の全ての末端まで凍えてしまいそうな
そんな日だった。

二人は11歳。
どこにでもいる有り触れた小学生。

あの時、あの場所にさえ居なければ
この二人の身に降りかからなかったであろう
悲劇をここに述懐しよう。

それはクリスマス間近の玩具量販店。
プレゼントを買い求める親子連れで
賑わっている。
シグレは父と二人で、当時大人気だった
アニメのプラモデルを購入する為に、
そこにいた。

そしてメグルもまた母と、
9つ歳の離れた兄と一緒に
その場にいた。

数分前、斜向いの銀行で
強盗団が襲撃していた事実も知らずに・・・。

直ぐに警察に報せが入り、強盗団は逃げ場を失った。
逃げ延びた数名の現前には、多数人質が捕れるであろう
玩具量販店が・・・。
迷うことなく強盗団の一味は押し入った。

ダダダダダダー!!
店内に銃声が轟く。
人々の泣き叫ぶ声が銃声にかき消された。
約50名あまりの人は、
フロアの中央に集められた。

銃声はまだ止まない。

跳弾により、幼子の命がいとも容易く奪われていく。
「おらおら!!店にいる奴らはとっとと
 ここに集まれ!!
 さもないと一人づつ撃ち殺すぞ!!」
そう叫喚しながら一人の少年に銃口を向け
引き金を、引いた。

少年の眼に恐怖の色が浮ぶ。
声なんて出やしない。
逃げなきゃと思う程に硬直する体。

弾は銃口から解き放たれ、少年の頭へ導かれる。

ドンッ!!

何か重いものが彼に伸し掛った。
それは鮮血に塗れた兄だった。
「お兄・・・ちゃん?何で?
 ヤダよ・・・。何で僕を助けるんだよぉ・・・」

「メグル。大丈夫、肩に当たっただけさ。
 何ともな・・・」

ドォン!!

そう言い終える前に銃が低く唸った。
「ちっ!死に損ないめっ、
ガタガタ言ってんじゃねぇよ!」

兄は、吐血し脱力した。
そんな無残な息子の死を目の当たりにし、
母は発狂し強盗団目掛けて暴走する。
「よくも息子を!!息子をっ!!」

兄の命を奪った銃口が、母に向けられる。
メグルは吼えた。
獣の如く母を助けようと吼えた。

だが、そんな彼の声も空しく
ほんの一瞬で母は糾弾に倒れた。

ほぼ同じタイミングで強盗団の男も崩れ落ちた。

強行班の突入だ。
銃声が店内を反響する音で耳が痛い。
跳弾の嵐は人質となっていた人々にも襲い掛かる。
シグレの父は息子を守ろうと、必死に抱きしめた。

数分で強盗団は全滅したが、
人質の数名も命を落とした。

その被害者の中にシグレの父もいた。





この記事へのトラックバックURL

この記事へのコメント
はじめまして。
チャッピィーと申します。
凄く、迫力のある小説ですね!
しかも、文章力が凄い!!
羨ましいです。
次が、とても楽しみです!

では、また来ます!!
Posted by チャッピィーのドラクエ日記チャッピィーのドラクエ日記 at 2008年08月10日 14:46
出会い系サイトの王道とも言える恋人出会い系サイト!
Posted by 出会い系 at 2008年10月27日 15:33
 

プロフィール
雀ざくろ
雀ざくろ
QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。 解除は→こちら
現在の読者数 0人
オーナーへメッセージ